大池の家 実施設計。
静岡県掛川市内に計画している住まいの大池の家の実施設計が終盤に差し掛かっています。
この段階になってやっと当初から考えていたディテール(細部の設計)の図面化がされてきます。私は図面で最も重要なのは、配置図、平面図(平断面展開図)と矩計図(断面展開図)と天井伏図(天井平断面展開図)だと考えています。何故ならば建築のほぼ全てがその図面で決まるからです。なお平断面展開図などの図面名は私が勝手に付けているものですが、各図面は全て断面図と捉えその奥行きがどのように続いているのかを展開させることで上下左右の立体がよく分かりコントロールができます。
それらの図面は設備機器も含め有るべきものは全て実寸で、存在するものは全て忠実に描き込み、物体を記号的に表現しないことにしています。そうすることで、設計の状況を理解することが出来るし、良い設計が出来ているかの判断も可能になります。上記以外の図面は乱暴に言えば、結果に過ぎないかもしれません。
そして図面は、CADで描く前に設計コンセプトの実現に必要であるディテールについての思考検討と手書きのスケッチ図(原寸か2分の1の縮尺)が不可欠です。「始まり」である建築の全体構成を司るコンセプトと「終わり」であるディテールは、ほぼ同時に検討を行います。
ただし初めに考えたディテールが、実施設計で図面化されてくるのは一番最後でその図が明確に決まってくると、それまでふわふわしていた想像が一気に現実につながる感じがします。しかし図面を起こせばディテールの見直しも多々あり、それは建築全体に影響が出るためその都度関係する図面の修正を行いますし、当然ながら図面チェックは少なくとも数回は行うため、図面の完成間際が最も根気が要ります。
建築の本質と関係なさそうな線の強弱や色付けやハッチングや影付けなどの作図表現も同時にチェックをします。他者からみたら無駄な労力に思われるかもしれませんが、そういう図面には力が宿ると信じております。
平日はなかなか時間が取れないので静かな週末に夜な夜な図面チェックを行うのですが、設計をしていてこれが最も楽しい。
佐野