軒下の角面
本計画は、静岡県掛川市の穏やかな住宅地に位置する、夫婦と三人の子どものための住まいです。敷地は北側と西側で道路に接していますが、南側には集合住宅が、東側には隣家が近接しており、日当たりの良い南側からのプライバシー確保が課題となっていました。
施主からは、家族や友人が集まる開放的なLDKを住まいの中心としながらも、バイクや音楽鑑賞といった個々の趣味の時間も大切にできる、プライベートな空間の両立が求められました。この「集い、開く」要素と「個々で、閉じる」要素の統合が設計の要点です。
そこで私たちは敷地の二面性に着目しました。人の往来がある北・西側を「オモテ」、南側を「ウラ」と捉え、建物の中央に一本の壁を「稜線」のように貫く構成としました。この壁は、空間を分断するのではなく、異なる性質の空間を緩やかに繋ぎとめる結界として機能します。
具体的な計画として、「稜線」の北西側(オモテ)には吹き抜けを持つ開放的なLDKや玄関を配置し、まちに対して開かれた回遊性のあるプランを実現しています。一方で、南東側(ウラ)には水回りやランドリー、プライベートな庭を設け、外部からの視線を気にせず落ち着いて過ごせる領域を確保しました。2階はセカンドリビングと子供室を配置し、吹き抜けを介してどこにいても互いの気配を感じられる立体的な構成としています。
この一本の「稜線」によって生まれる空間の分節と繋がりが、公と私、集いと個の時間に豊かなグラデーションを与えます。家族はそれぞれの時間を尊重しながらも緩やかに繋がり、まちとの心地よい距離感を保ちながら、この場所ならではの暮らしを育んでいきます。

































