前事務所で最後に担当した物件のフォトブックが出来てきました。
撮影に1年掛かり、フォトブックのネタ作り編集のやり取りに3ヶ月、退職後も担当者として継続して関わらせて頂きました。
編集は建築メディア研究所です。
新建築社のOBの方々とあり、レイアウトのバランスなど流石ですね。
ハードカバーですので雑誌よりも数段良く見える気がします。
弊社の実績にはなりませんが、担当者という事でフォトブックの出来を含めて全ページ紹介させて頂きます!
表表紙。
鉄骨造4F建て、延べ床面積約9,800㎡の校舎と、人工地盤の空中のメインストリートと大階段。
校舎(中棟)生徒昇降口。
学校名、静岡県立浜松湖北高等学校。
設計は竹下一級建築士事務所、施工は地元企業の中村組、林工組、三協建設です。
正門前より校舎棟を見る。
校舎棟は並列配置された3棟(手前より南棟、中棟、北棟)が繋がっています。
手前1Fは、職員・来客玄関、左側はペデストリアンデッキ(人工地盤)に至る大階段です。
ペデストリアンデッキ、大階段から見る。
1つの建物ですが、3棟に見えるよう大きくボリュームを構成しています。
黒い外壁のリブパネルを使ったデザインは、日建設計さんの作品など参考に模索しました。
ローコストで効果的にデザイン出来たと思います。
全体配置図。
赤が校舎棟、青が実習棟、黄が体育施設です。
全て新築若しくは改修を行いました。
大きいものから小さいものまで合わせて30棟近くあったと思いますが、当時は本当に頭が回らない物量で気が狂うかと思いました。笑
校舎棟生徒ホール。
静岡県内産木材を一定量使わなければいけないオーダーでした。
あまり使いすぎるとコストに跳ね返ってきますので、最小限で最大限の見せ方をずっと考えていました。
特殊なものは採用せず、普段一般的に使用するものを如何に工夫出来るか、隈研吾さんの建築はかなり参考にさせて頂きました。
隈さんが言われている素材の粒子感など、到底及びませんが素材選びでは今も常に考えています。
普通教室と特別教室。
教育のソフト面の提案は求められていませんでしたので、基本的には従来の教室ですが、何か工夫したいと考えていました。
目を付けたのは、学校間仕切りです。廊下と教室を間仕切る壁です。
従来のものは、前後に出入り口と中間に地窓・掲示板・欄間などが一般的だと思います。
更に最近は既製品のスチール製の間仕切りを採用することも多く、私はこれにウンザリしていたのでした。笑
昔ながらの製作間仕切を地場産木材でシンプルにつくる事でコストも抑えながら、開放的で新設校のイメージにも合うと考えました。
教室が40室位あるので、現場製作は大変でしたが、オーダーに反することなく工夫していく術が重要です。
普通教室と棟を繋ぐ3層の渡り廊下(右側)
3層の渡り廊下、アルミカーテンウォールを使えば全面開口部として簡単に出来ますが、カーテンウォールはとても高額。
一般ビルサッシを使いカーテンウォールに近い見え方の構成とディテールで実現しました。
コンクリートの庇は、層間の防火区画にも使われています。(火災時にガラスから飛び出た炎が上の階へ延焼しにくいつくり)
うぉぉぉ~、言い足りないです!
規模は大きくとも住宅並みのディテールと俯瞰した構成が詰まっていまして、
まだまだいっぱいありますが、校舎棟はココまで。
多目的体育館。
学校にはもう一つメインの体育館がありますので、こちらはサブ的なものです。
当初は、構造家の長谷川大輔さんと進めていましたが、発注側としては実績のない新しい案は採用がされ難く断念。
ラーメン構造(柱と梁でつくる普通の構造)縛りの追加条件を頂きました。
木を使った構造にする条件もありました。
単に太く大きな材で作ったのでは空間が圧迫されるだけでなく、美しいとは言えないと思いました。
ここでは、石橋にみられるアーチ架構をヒントに木材に掛る力を上手く伝達することで、通常の半分以下のサイズに出来ました。
また、そのアーチという架構そのものがデザインに活かせると考えました。
アーチは2つのパーツが頂部でジョイントされています。
この半径の梁は国内で唯一1箇所でしか製作出来ない最大の大きさです。
製作可能半径から寸法を押さえていきました。
最終ページは、概要。
新建築の巻末データシートの様で嬉しいです。
裏表紙。
これで終わり。
建築メディア研究所のロゴがさり気無く入っています。
やはり、こうやって残る形にするのは良いですね。
特に、自分が担当・設計した建物は我が子同然の想いです。
可愛くて仕方がないですね、七五三のアルバムと同じかもしれません。
今後、弊社の竣工物件もこのようにフォトアルバムにしてお施主様にプレゼント出来たら良いですが..笑
佐野