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グラントワ・内藤廣展。

先日、弾丸で島根県芸術文化センター(愛称:グラントワ)へ訪れました。目的は二つあり、一つは内藤廣さん設計の大作グラントワそのものの見学、もう一つはグラントワで開催されていた企画展「建築家・内藤廣/BuiltとUnbuilt 赤鬼と青鬼の果てしなき戦い」の鑑賞です。

グラントワは、美術館と劇場が一体になった全国的にも珍しい建物です。異なる用途の機能や活動が行われるため、それをまとめ上げる強い求心力のある場所が必要と考えられ、中央にある45m角の大きな広場が設けられています。中心には25m角の水盤があり上下を反転させた映りこみが見えることが加わり、中心性によって見事に全てがまとめられていると感じました。

施設の案内図。左側の黄色部分が美術館、右側が劇場小ホール、上側が劇場大ホール、それらを結ぶ回廊があり中心の広場が全体をまとめています。

美術館ロビー。中世のヨーロッパ建築に劣らない重厚なアーチの空間が美術館として切り替わる場所になっていると感じました。

大ホールのホワイエ。大ホールには入ることが出来ず残念でした。RCの折板壁による反響が素晴らしいそうです。

柱の無い(スリムなスチールの柱のみ)極めて開放的な回廊。

そしてこちらが企画展です。端的にいうとBuilt(実現したもの)とUnbuilt(実現しなかったもの)とOngoing(進行中)に分けられた展示で内藤さんの学生時代の課題から現在進行形の案件まで恐らく全ての作品が並べられていました。とにかく物凄い物量と熱量で感動しました。Ongoingは、知られざるものや、進行中の過程などがみれてとても興味深かったです。

撮影は前室までのみでしたので、ここだけ。海の博物館の架構を延長した架空の建築。

ロビーにグラントワの断面詳細図が飾られていました。比較対象がないので分かりづらいですが、かなり大きく2m×1m以上はあったはずです。展示室にはもっとはるかに巨大な図面がありましたが、描かれている図面の密度が濃いためむしろ丁度良いスケールに感じるほど。言葉では言い表すのは難しいです。

ただ、一番衝撃的な印象だったのが学生時代の卒業設計です。早稲田大のその年の最優秀賞に与えられる村野藤吾賞を受賞とのことですが、ドローイングの力強さがとてつもない。遠くから見ても異常なものがあるのが分かるほど。私の中で何かメラメラと今後の設計の意気込みへと熱意が燃えうつってきました。

静岡県からのアクセスの都合上どんなに急いできても14時前後の到着になってしまう上に15時半ごろには帰路につかねばならぬという本当に弾丸ツアー。当然ながら全ての展示をゆっくりととは行かず取り急ぎ全体を体感。この展示が収録された書籍をもって後日復讐をしたいと思います。


最後にグラントワの象徴ともいえる石州瓦。来待石(きまちいし)を混ぜた釉薬を1200℃で焼成したガラス質コーティングが高い耐久性をもたらすそうです。屋根の12万枚、壁に16万枚ととてつもない量で、これほどの建築が出来ているからこそ感じる力があると思います。正に地に足のついた建築、目指すべき高みです。12月4日までの会期で既に終わってしまってますが、ギリギリでも訪れることが出来て本当に良かったです。

佐野

Posted on
Dec 16, 2023 at 4:33 PM
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Author
sano

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楊子の家 内外装。

川沿いの敷地に計画している楊子の家の工事進捗状況です。

上棟後の中間検査は無事合格し、下地の施工が進められつつ各部分の仕上げについて専門職の方々との打合せが日々繰り広げられております。ここでは、外装の外壁廻りの板金について喧々諤々しているところ。波板ガルバの出隅や入隅の曲げ、上下端部の逃げの寸法などを確認。お世話になっているK板金のJさん、いつもながらめちゃくちゃ頼もしい。

土台への笠木の加工形状やジョイントについての確認。雨水をしっかり切るために慎重に決めていきます。

電気業者さんとの打合せ。配線ルート、スイッチボックスや照明の取付け位置など、将来のメンテナンスも踏まえた施工側の意見をいただきながら確認します。

コンセントプレートとエアコン本体の物体同士の位置関係を担当の啓生くんが決めてあるので、現場で最終チェックし共有を図りました。

大工のMさんは腕が立つ上に仕事がとても早い!この日は断熱材を充填していますが、現場で保留事項となっていて普通なら施工できない部分があっても色々と工夫した「逃げ」によってどんどん進めてくれます。工期を守りながらこちらの悩む時間をつくってくれて非常にありがたいです。この逃げは決して設計で目指しているディテールを妥協しているわけではない点が素晴らしい。設計意図を理解してもらえてるからこそできる業だと思います。

こちらはスチール製の階段手摺の打合せ。丸鋼でつくるシンプルな手摺を設計しているのですが、シンプルに見せるための裏側の苦労はいつも絶えないです。専門業の方々は初めは大体出来ないと言うのですが、結局プライドを掛けて素晴らしい施工でこたえてくれて感謝がつきません。

私たちの目指すものを実現するために悩んでいる様。難しいなぁと言いながら喜んでいる(感じがする)ところが、設計者としてありがたいです。

基本的に設計や現場について全てを私自身で把握して進めておりますが、担当所員が主体性をもって進めてもらうようにしているので所員は皆緊張感をもって業務にあたってくれています。現場監督さんや専門業の方、職人さんも所員を鍛えてくれるように暖かく接していただけるので、とても勉強になるし現場監理は楽しいなと思います。

今後は外装工事が進んでいきますので、引き続きこまめに現場確認をしていきたいと思います。

佐野

Posted on
Dec 12, 2023 at 10:14 AM
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Author
sano