あずまやの園舎
ゆりのき保育園
静岡県浜松市の郊外へ新設した0〜2歳を対象とする小規模保育園の計画です。人格形成に大きく影響する年齢であることから建築計画として、小さなこども達の潜在意識へ安心感を与える園舎を目指しました。
初めて親元から離れるこども達は、それだけでとても不安な心境です。加えて初めてみる外の世界はとても強く目にうつると考えられます。大人の都合でつくられた四角い塊は威圧感を与え、外の環境は壁を通り抜けるといきなり現れてきます。そこで園舎はそのような強い世界を和らげる建築にできないかと思案しました。本園では外部と内部の境が曖昧に感じる中間領域のような空間でこども達の居所づくりを行っています。
園舎は園庭を囲うようなロの字型プランとし、全室が外部とのつながりを持てる平面計画としています。園庭は、外部であっても内部に居るような錯覚を起こすローマのパンテオン的空間を参考とし、寄棟屋根で覆われた中央に採光と降雨のための開口を少し絞り気味に取っています。これによって内部のような外部の空間を体験でき、それがこども達にとって優しさのある場所をつくり出しています。
園舎のあり方としては、周辺環境を取り込んだ「街のあづまや」のような存在にしたいと考えました。あづまやは、公園など広い場所に開放された環境にありながら、人が休憩をしたり雨宿りをしたりという拠り所になっています。この地域のこども達が地域のあづまや(園舎)に集まり安心して保育生活を送ることは、ここでの一つの正解になるのではないかと考えました。
Detail
名称 | ゆりのき保育園 |
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用途 | 幼児施設建築 |
所在地 | 静岡県浜松市内 |
工期 | 2023年3月 |
建築面積 | 265.65㎡ |
延床面積 | 238.57㎡ |
階数 | 平屋建て |
構造 | 木造軸組ラーメン構造 |
撮影者 | 中川 敦玲 |